乗鞍岳

乗鞍岳の主峰・剣ヶ峰の標高2985m地点に建つ「頂上小屋」その小屋番の記録よりお伝えするのがこのサイトです。少し偏見と癖を感じられるかもしれませんがそれもすべて「乗鞍岳」愛する故と云うことでお許し下さい。
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07年観察記録/1
07年観察記録/2
07年観察記録/3
07年観察記録/4
07年観察記録/5
2006年春・夏・秋の記録
乗鞍岳で見られる鳥・獣・蝶
乗鞍岳のライチョウ
 
乗鞍岳には高山に生きる「孤高の鳥」とも「神の鳥」ともいわれるニホンライチョウが棲んでいます。
登山者を恐れぬ、ずんぐりした体形で目にした人を虜にする「高山一の人気者」ですがその生息環境
苛酷で、未来も明るくはありません。
このHPを作成している小屋番自身それほどライチョウについて語れる身ではないのですが、ライチョウ
研究の第一人者である信州大学生態研究室の中村浩志教授の知遇を得られ、乗鞍岳のライチョウ生
態調査の同行をさせていただくことで学んだことや観察した記録をお伝えすることが、今できることです。
中村先生より教えていただいたライチョウの生態をメモとして以下に述しておきます。乗鞍岳に来られる
際にはお役立てください。登山道、園路でライチョウと出遭った際にでも思い出して下されば・・・・・
 
<ライチョウの近況/07.10.30大黒岳で―白い毛がふえて群になっていました>
 
① ライチョウとは・・・・・
  キジ目ライチョウ科の鳥。学名はLagopus mutus/1955年2月15日に国の特別天然記念物に、環
省のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。全長35~40cm、体重430~550g
「グー」とか「グヮー」とかの蛙に似た鳴き声を発します。
② どこに、どれぐらい・・・・・
  乗鞍岳や隣の御嶽山と、北アルプス、南アルプス、火打岳の本州中部の高山帯(標高2500m以
上)にのみ生息し、数は約3000羽以下と言われています。乗鞍岳には推定130~160羽が生息して
いるようです。
③ どんな生活・・・・・
  雪解けの4月ごろより活動は活発化します。群れの中で雄同士が争い、雌と一夫一妻のつがいを作
り繁に入ります。6月に入って雌は5~8個ほどの卵を産み暖めます。この間雄はなわばりと雌の防
衛をして過ごします。7月に入ってヒナが孵化すると雌が世話をし、雄は家族と離れ単独の生活を送りま
す。ヒナは雪が降り始める10月には親鳥とほぼ同じ大きさにまで成長し、毛も同様に白くなり冬の群れ
に入っていきます。冬は強風の為に積雪が少なくなった場所に集まり、わずかな高山植物のついばみ、
じっとして餓えをしのぎます。
④ なぜ、逃げないの・・・・・
  日本のライチョウは人を恐れる様子は見せません。しかし、これは日本だけのことで、海外の多くの
国のライチョウは現在も狩猟鳥のため人を見ると飛んで逃げるそうです。稲作文化を基本にした日本で
は里、里山、奥山の住み分けが近代まで続き、特に高山帯は神の領域とされ人が入ることをタブー視し
てきました。そのため、最奥に棲むライチョウは神の鳥とされ狩猟の対象にはならずにきたのです。人
を恐れない日本のライチョウは、日本文化の産物ではないでしょうか。
⑤ ライチョウのこれからは・・・・・
  ライチョウの未来は明るくはありません。登山者の増加による様々な影響とともに、カラス、チョウゲ
ンボウ、キツネ、ニホンザル、シカ等の本来は低山で生息していた動物が近年は高山帯に進出し、ライ
チョウの生活を脅かすようになってきています。さらに、近年の地球温暖化は、この鳥の生息域を圧迫
してくることが予想されています。
世界の最南端にかろうじて生き残ってきた日本のライチョウは、これからも日本の美しい高山の自
然とともに、後世に残していかねばならないものです。